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コンコンとくるみの部屋のドアを二回叩く。
当然…、
「………」
返事は無い。
「くるみ…」
「話したくない!!!」
いつもなら真っ暗な廊下にくるみの部屋の引き戸から微かに部屋の光が漏れるのだが…くるみがいるはずの部屋から光は漏れていなかった。
まるで誰もいない場所に話しかけているように感じる。
「…なんで…今言うのよ…」
「それは……」
「なんで今なのよ!!!」
「………」
「なんでもっと早くに言ってくれないのよ……」
「………」
「もう話しかけないで!!!」
子供のような声を出して私を拒否するくるみ。
「…………」
私は無言でボロボロのノートをいつも光が漏れてくる引き戸を少し開けて隙間に差し込んだ。
バサリとノートはくるみの部屋の床へと落ちる。
落ちた音なのか、それとも暗闇で目が慣れてるのか、はたまた空から漏れる月の光に映ったのか…くるみはすぐにノートの存在に気が付いてくれた。
「…なによこれ?」
くるみはか細い声を発しながらノートに手を伸ばした。
「読んで見なさい、…いや、読んでくれ」
「……?」
「父さん、ちょっと風に当たってくるからな」
そう言って二階にあるテラスへ、っと言っても畳一畳分も無いテラスに足を向ける。
畳一畳以下のテラスから備え付けてあるハシゴに手をかけてゆっくりと屋根まで手と歩を進めた。
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