最初の恋

３

「お先失礼します。」

ﾀｲﾑｶｰﾄﾞを通し、着替えを素早く済ませ、私は事務所の中に声を掛けた。

「みっちゃんお疲れー。」

事務員の豊島さんが手を振ってくれる。
私も振り返して、ちらっと奥に座る静谷さんを見た。
真剣な顔で手元の書類を見ながら、電話で話している。

（……ちぇっ。）

ついつい拗ねてしまう。
静かにﾄﾞｱを閉め、裏口から出る。
ﾌｨｰﾙﾄﾞにいる人たちやﾋﾟｯﾄの人たちに挨拶をして、店を出た。

歩きながら腕時計を覗くと、12時30分を指していた。

（ﾒｸﾞﾐとの待ち合わせまで、図書館に行こうかな…。）

宙に向かって時間の計算をしていると、かばんから振動が伝わった。