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「………っはぁはぁ、」
いきなり覚醒した体が暴れる。
動悸と汗が止まらない。
「夢…」
そう夢。
夢。
夢…
昨夜を思い出す。
克明に、鮮やかに。
脳内はまだ、昨夜から進んでいない。
ここは静谷さんの帰る場所ではないのに。
「……静谷さん」
そっと名前を呼んでみる。
もちろん応えはない。
私は息を吐いた。
喉の渇きを覚えて、寝台から抜け出す。
冷蔵庫から水を取り、ゆっくり飲み干す。
開け放った窓からは、静谷さんと出会って二回目の春の光が差し込んでいた。
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