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フィールドに落ちている葉や塵屑を拾いながら、私はフィールド奥にある従業員用の駐車場を盗み見た。
すると、一台の白い車が入っていくのが見えた。
―来た。
私は跳ね上がる心臓を押さえながら、平静を装って掃除を続けた。
今朝見た夢が蘇る。
名前を呼ぶ声。
眉を寄せた顔。
薄く開けた唇。
「…美蔓」
ふと、呼ばれて声の方を見る。
見る前から分かっていた。
「おはよう、みっちゃん。」
呼び方をさらりと変えて、私にはにかんだ笑顔を見せた。
片方だけにできる笑窪が、年齢よりも若く見せる。
「おはようございます…静谷さん。」
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