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とある山奥に一匹の子キツネが居ました。
まだ独り立ちには早い頃合いなのに、その子キツネの近くには、親キツネの姿は見えません。
どうやら兄弟と喧嘩して、一人で遊んでいるうちに、親とはぐれてしまったようで、当てもなく歩き回っていました。
まだ狩りも満足に出来ない子キツネなので、たまに捕まえる事が出来る、野ネズミでお腹を満たそうとしますが、失敗が多く、何より満腹には程遠いので、日に日に痩せていきました。
何日も何日も食べ物を探しながら親キツネを捜してたある日、一組の親子キツネ達を見つけました。
お腹が空いているのも忘れ、一生懸命走り寄りました。
近くまで来たその時、その親キツネから激しく威嚇されました。
どうやら、違うキツネだったようですが、何日も何日も歩き回った子キツネにとって、親が恋しい気持ちが先に立ったのでしょう、何度威嚇されてもその親子から離れようとしません。
しばらくの間、そんなやり取りをしていましたが、子キツネは、やっと諦めてその親子から離れて行きました。
いつしか子キツネは本当の親キツネに拒絶された気持ちになり、大きな声で泣きました。
この子キツネにとって、二度も親キツネと別れたのですから、大きな声で泣くのは当然だったかもしれません。
子キツネは、オオカミに聞かれる事も考えず、むしろ聞こえて欲しいかのように、大きな声で何度も何度も泣きました。
そんな時、一番恐れていた事に、一匹のオオカミが現れました。
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