キツネ

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子キツネは、なんだか様子がオカシイのは解りましたが、襲って来ているという事が解りません。 それは今まで運良く、キツネを食べる動物に会わなかったからです。 老オオカミ以外は…   老オオカミが目の前まで近づいた時、その迫力に何も解らない子キツネも体を固くさせました。 それでも逃げませんでした。 いや、逃げる事が出来ませんでした。   そんな子キツネに老オオカミは勢いよく体当たりをしました。 子キツネは大きな声を出しながら、飛ばされてしまいました。 体が痛いのを我慢して立ち上がり、逃げようとする子キツネに対して老オオカミは、何度も何度も体当たりしました。 子キツネは、食べられてしまうと思いながら、とうとう気を失ってしまいました。   しかし不思議な事に、老オオカミは一度も噛みついたり、引っかいたりしませんでした。   しばらくして、子キツネは目を覚ましました。 自分がどんな目にあったか解るまで時間はかかりませんでした。 体中の痛さが、教えてくれたからです。   少し離れた所に老オオカミの姿が見えた気がしました。 ビックリして、もぅ一度見直した時には、何も居ませんでしたが、子キツネは急いでその場所を離れました。    そんな事件があった後の数ヶ月の間の子キツネは、まだまだエサも満足に捕れないままでしたが、それでも一生懸命自分が捕まえる事が出来る野ネズミなど、失敗を繰り返しながらも、捕まえて生きていました。 どうしてもエサが捕まえられない時や、エサを見つける事が出来なく、もぅ動けなくなりそうな時は、なぜか近くに、食べかけの穴熊や鹿があったので、なんとか生きていけました。     まだ子供っぽいところは残ってますが、青年になったキツネは、食べかけのエサに頼る事無く、生きていました。 老オオカミの姿も、あの事件以来見ていません。そんなある日、青年キツネは一匹のメスキツネと出逢いました。   青年キツネは一目でそのメスキツネを気に入りました。 一生懸命好きになってもらおうと、メスの周りでハシャいだり、食べ物をプレゼントしたり、とにかく一生懸命でした。 そんな青年キツネをメスキツネも気に入って、二匹でよく遊んでいました。   そんなある日、いつものように遊んでいると、周りの様子がいつもと違う事に気が付きました。 目の前に一匹の野犬が現れたのでした。
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