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――シュパッ
誰もいない朝日差し込む真夏の体育館。
聞こえてくるのはボールが跳ねる音と、ゴールをボールが貫くときになる気持ちのよい音だけ。
「暑ちぃな……」
そう呟きながら練習用のTシャツで汗を拭い、沢山のボールが入っているケースからボールを取り、シュートフォームに入ろうとする一人の少年。
彼の名は―――
「爽太!」
そう、彼の名前は葉山爽太。
バスケ部の主将。学校でもちょっと名の通った有名人。
爽太は手に持っているボールを地面に落とし、声のした方へと目を運ぶ。
「なんだ、陽菜かよ」
体育館の扉の方から、ほんわかと優しい笑みを浮かべ、近づいてくるショートカットの女の子。
彼女の名前は宮本陽菜。
「彼女に向かって、何だとは失礼じゃない?」
陽菜は頬を膨らまして、怒った仕草を見せる。
そう、爽太と陽菜は付き合っている。
陽菜は女子バスケ部の主将。
しかも、陽菜は学校でも美少女の部類に属された。
爽太も特別顔立ちが言い訳ではないが、それなりに整っていた。
だから、爽太と陽菜は学校公認のお似合いカップルで通っていた。
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