第一部 一章 白色の生活

5/6
前へ
/8ページ
次へ
爽太も当然、陽菜に対して引いて守っていた。 しかし、爽太は陽菜を左隅に追いやったことに安心したのか、プレッシャーをかけるため前に出てしまった。 これがいけなかった。 陽菜はそれを待ってました。と言わんばかりに一気に抜きにかかった。 身長約150センチから繰り出される低いドリブル。 陽菜は身長178センチの俺の脇したに潜り込み、一気に加速をした。 ―――っ、こいつ 低いドリブルは爽太にボールを触れることを許さず、そのまま通り抜ける。 陽菜は俺を抜き去ると、そのままスピードを緩めず、シュートモーションに入る。 爽太は体を素早く反転させ、陽菜を追いかけた。 陽菜はドリブルを止め、レイアップのモーションに入る。 爽太はなんとかシュートコースだけでも塞ごうと、必死に手を伸ばす。 すると陽菜が高く飛んだ瞬間、シュートコースは爽太の手によってうまい具合に塞がれてしまう。 それに対して陽菜は俺のブロックを交わすと、右手から左手にボール持ち替え、シュート放った。 (ダブルクラッチ……まさかな) 陽菜のシュートはリング上を転々とし、なぞるように回る。 爽太はまさかとは思いながらも、ただ入らないように願いながら、その光景を見つめる。 爽太の願いが通じたのか、ボールはリングから零れ落ちた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加