第一部 一章 白色の生活

6/6
前へ
/8ページ
次へ
リングから外れたボールが地面に落ちるのを眺めながら、爽太は胸をなで下ろす。 それだけ今のシュートは惜しいものだった。 あの短い滞空時間の中で、ボールを持ち替えることができる人は、そういないだろう。 形はどうであれしっかりとゴールを狙いにいった。しかもかなり正確に。 流石女子部の部長だな、と爽太は思った。 何はともあれ、陽菜の攻撃は失敗に終わったのだ。 これで今度は爽太がオフェンスで陽菜がディフェンス側に回る。 もうわかったかもしれないが、1on1のルールは至って簡単。 まずオフェンス側とディフェンス側を決めて、オフェンス側はゴールを狙って、ディフェンス側は相手にシュートを決めさせない。これがまず基本。 そしてオフェンス側が、ディフェンス側にボールを奪われたりシュートが外れたら、攻守交代。 これをゴールが決まるまで繰り返す。 これが1on1のルールだ。 オフェンス側になった爽太はボールを手に持って、先ほどの陽菜と同じ立ち位置に立つ。 そしてゆっくりと、フリースローラインに立つ陽菜へとボールを送る。 陽菜はそれを受け取り、すぐに返す。 爽太はボールを受け取ると、ドリブルを開始した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加