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その時どうしてそれを見ようと思ったのかはわからない。
きっと崩壊が私の鼻先をくすぐったのだと思う。
マイピクチャを見たとき、私の目は瞬きをしていただろうか。
彼の上に裸んぼうの女が乗っかって、それはそれは気持ち良さそうな顔をしている画像を見ながら、私の肺は呼吸をしていただろうか。
本当にすごくびっくりしたわりに、私の指はきちんと画像のスライドを繰り返していた。
10枚以上あった。
私は彼と知らない女の画像を、送ったり戻ったりしながら何回も見た。
愛着のある見慣れた彼の棒が知らない女の穴に入っているアップだとか、シャッターを押す手が苦しそうな位置から撮られているものだとか、自分のすら見たこともない部分だとか、もうソコがドコかさえよくわからない部分だとか。
それらの画像たちは私の腹痛を遥か遠くに差し置いて、ぐるぐると大きな渦を作り広がっていく。
おかげで私は不謹慎にも変な気分になってきて、必死に悲しみを探した。
けれどその一連は、リアルすぎるグロテスクなイヤらしさに溢れていて、悲しみや怒りの回路をすぐにまた官能へと繋げた。
本当に残酷な出来事だった。
私にとって、本当に残酷な夜だった。
彼の家を出た私は、静かな夜のおそらく道だと思われる場所をひたすら歩いた。
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