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「なあーにが一人分だ。足りないじゃんかアイツシバいたる」
けだるそうな声がしたと思えば、ローブを着た銀髪で長髪の女が光る円に浮かび上がった。
ユズは恐怖で固まっている。
「あんた誰だ」
ニアはいかにも怪訝そうな顔をして女を見据えた。
女はニアの顔を見て笑った。
「名乗るほどのものじゃないよ。あんたはニアだろ?そこの後ろはポルンガと和也と備前」
「妹を離して」
女はポルンガの方へゆっくりと顔を向けると、またけだるそうに顔を歪めた。
「残念ながら出来ないんだよ。こっちも仕事の依頼でね」
すると団子の串を構えた和也が言った。
「一方的に名前知られてると気持ち悪ィな。照れてないで教えろや」
女はふんと鼻を鳴らして和也の持っている串を見た。
「そんなもので脅されてもどうってこと無いんだけどね……。しょうがないね、あたしは誘宵さ。精々覚えといてくれ」
女、誘宵は逃げようとしたユズの襟をつかんで呪文を唱え始めた。
「じゃ、この子は連れていくよ」
「待て!」
ポルンガが二人に手を伸ばした。
その手が届く前に、円は物凄い光を放って消えた。
後には魔力の余韻だけが残った。
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