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「いつもすみません、備前さん」
「いいえ、いいんですよ」
備前はにっこり笑った。
手には和也のためのお茶と菓子が用意されている。
「うちもなるべく人が居るところへと引っ越してきたんですがね・・・とうとうここも潮時だ。また移らざるを得ないみたいです」
備前は自分の店の周りを見た。
もとは商店街だったが、今は次々とシャッターが降り、備前の店しか残っていない。
和也も備前の目を追った。
備前の目はとても悲しく、そして怒りに煌めいていた。
「一口に言えば過疎かと。まだ繁栄している箇所もありますがその場は日に日に減ってきています」
備前はお盆を和也の前に置いた。
和也は未だ黙ったままだ。
「しかも、最近は変な輩が増えまして、セルセスとかいう奴が頭領らしいです」
和也はだんごを一つ手にとって、静かに食べ始めた。
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