そこにある恐怖

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しかし、うごめく黒い影は、月明かりが苦手なのか、ベットギリギリの所で一旦止まって右往左往している。 助かった…。ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、今までに聞いたことの無い声で唸り出したのだ。また全身に恐怖がはしる❗ぎゃーともウォーとも違う何とも不気味な声で唸る…。何なんだよ❗半泣きになりながら心の中で叫ぶ…。今まで数多く霊体を見てきたが、こんな奇妙な恐怖心は抱いた事が無い…。 次の瞬間恐怖がMAXを超えた❗❗ 目がある❗❗二つ❗❗黒くうごめく影には二つの目が❗❗ しかもただの目じゃない❗❗銀色に輝く目❗❗ 一瞬我が目を疑った❗ 人間の霊では無いのか❗❗ 映画などでは、よく金色や赤い目はよく見かけるが、まさか生で銀色の目を見ることになるなんて❗❗ しかも、その銀色の目が、ゆっくりと私の方に向けられようとして居る…ギギギギ…そんな音が聞こえてきそうな位ゆっくり…そしてその目は私を見た…。 目が…合ってしまった… きっと、金縛りに合っていなかったら、物凄く大きな悲鳴をあげていただろう。怖かった…言い知れぬ恐怖…未知の者への恐怖…。 私が動けず、けれど恐怖している事を確認した銀色の目はうっすらと目を細め笑った…。 勝ち誇ったようなそんな高飛車な微笑みだ。 明日には生きて居ないかも知れない…私はその時本気でそう思った。 奴はうっすらと赤い口を開けた…。血のような真っ赤な口をうっすらと開けてニヤリと笑った… また言い知れぬ恐怖が全身をはしる❗❗ 記憶はこれで終る。気がつくと既に朝だった…。 昨晩は、月が明るかったお陰で私は命拾いをしたようだ。 恐る恐る向かいのベットの下を覗き込む。 チリ一つ落ちていない…。 部屋は、相変わらず薄暗く、肌寒く、黒い靄が掛かっている。 昨晩のあの黒いうごめく影は何だったのだ… 銀色に光る二つの目は、確かにそこにあった。 それからはとにかく帰り支度は早かった。 自分の荷物をバックに詰め込み誰よりも早くパスに乗った… そして学校に戻るまで眠った…。 今でも忘れない鮮烈な映像…。銀色の瞳、血のように赤い口…あれは一体何だったのだ…。私にもわからない…もしかしたら怨念の集合体だったのかも知れない。 奴はまだあのベットの下に居るのだろうか… そう思うと怖くてベットには眠れない…
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