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とにかく早くゲームに戻りたい一心で、チラチラとゲーム画面を気にしながら菜々に合わせる。ただし、言葉に偽りはない。
「おはようございます、早瀬くん! ほら、アンタも挨拶すんの!!」
「そんな、何で同級生に礼儀正しくしなきゃいけないんだよ。それよりゲームに戻りたい」
「あ、い、さ、つ!!」
「…………。こんちはー。よしゲームに戻るぞ」
「んなふざけた挨拶許されると思ってんのかぁぁっ! 相手は学校のプリンスだぞぉぉっ!!!」
「ご機嫌麗しゅうございます、ゲーム。本日も大変良いお日柄ですね、ゲーム。御気分の方は如何ですか、ゲーム。……こんなんでいい? ゲーム」
「良いわけあるかぁぁっ! 言葉の節々に欲望が見え隠れしてんじゃねぇか馬鹿がぁぁぁあっ!!!」
「よっしゃ行くぜ十六連鎖ぁぁぁっ!!!」
「だから勝手に始めんなぁぁぁぁっ、空気読めやぁぁぁぁぁっ!!!」
菜々の叫びもクラスの女子の微妙な視線もクラスの男子の堪えきれていない笑い声も関係ない。
私はまさにその時、ポーズ画面を切ろうとスタートボタンに手を伸ばした。
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