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「いや……俺達も何が何だか……。朝来たら女子全員こんな感じだったんだ」
「何と。既に体をのっとられた後だったか」
「えぇっ、のっとられてんのアレ!!?」
「のっとられてるでしょ、確実に。見なよ、あの修羅の如き気迫を。佐藤さん辺りなんか半端ないっしょ。きっとあれ武田信玄入ってるよ」
「武田信玄!?」
淡々と語る私にホゥ、と納得する男子諸君。緊迫した状況下での冷静な意見はすごく頼りがいがあるように聞こえるものだ。
……あ、人に同調してもらうのって結構良い気分。と勝手に私が悦にいった時だった。
「みことぉぉっ!! アンタ何やってんのぉっ!?」
後ろから大音量で私の名を呼んだのは、後ろのほうでやはり鏡とコンニチハしていた友達だった。
はっきりとした整った顔立ち、適度に巻かれた長髪、スラッとしたモデル体型。
この美少女……長帆 菜々【ながほ なな】は中学校が一緒だったため、今のところ高校生活での行動を共にしている悪友でもある。
「おはよ菜々。馮依はとけたの?」
「ひょう……? と、とにかく!」
手招きされて黙って従う。テコテコ歩いていく途中やはりジトジトした熱気を感じた。怖ぇよ、女衆。
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