一・豆、腐食開始

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何が、と言おうとした私の心中を先読みして菜々はそれこそ大ニュースを告げるように嬉しそうに笑ったのだ。 「ねぇ、馬鹿。早瀬 章の事はアンタみたいな馬鹿でも知ってるよね馬鹿」 「早瀬 章……って、あの一組の噂の美形男子? ……あれ、それより何でかな。何か涙が出てきたよ」 「そう、その美形男子! 絶世の美男子、アイドル顔負けの女子の憧れの的さね! 馬鹿のくせにたまにはやるじゃん! 馬鹿!」 「興味ないや、よくわかんねぇ。……あれ、それより何でかな。何か握った拳に力が入っていくよ」 「それでねそれでねっ、その早瀬くんのグループが今日このクラスに選びに来るらしいんだよねー!!」 ……早瀬 章【はやせ あきら】。 人の名前を覚えるのが苦手な私でも知ってる超有名人だ。何でもアイドル並かそれ以上に顔が良いらしく、加えて成績優秀・運動神経抜群という、女子の憧れを凝縮したような男子らしい。 つーかそこまで出来てると気持ち悪い気もするなぁ。昔の少女漫画に出てきそうだ。 ちなみにその早瀬君のグループは、早瀬君ほどではないにしろ全員イケメンらしい。類友って奴である。
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