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「…………それ、どういう意味?」
「聞いたままの意味。早瀬くん達、定期的に違う女の子と付き合ってるらしいんだよね。気に入った子見つけては付き合って飽きたら捨てる、の繰り返し。だから女子の事は玩具って呼んでるみたいでさ。この頃近くのクラスで手頃な子がいなくなったから、今日は一番離れたこの九組に次の玩具探しに……って、ちょ、ちょ、寄らないで、何か納豆臭い。糸引いてる」
まだ動揺したままだが、なるほど、と私は首を縦に振った。
大体の事情は呑み込めた。つまり降霊ではなかったということである。
「……なーんか……すげー奴らがいたもんだねぇ。だからみんな鏡とにらめっこしてるわけか」
「納豆の糸が尋常じゃないほど顔に絡まってるのに涼しい顔で食べ続けるお前が一番すげーよ。お前は今こそ鏡を見る時だろうがよ。クモ女になってるぞ、クソ女」
「つまりはナルシスト集団がここに来るわけね」
「……今、かなりの数の女子を敵にまわした事に気付いてる?」
モキュモキュと不思議な音を立てて、納豆は私の口の中で消化されていく。今鏡を見たら、慣れない話にげんなりしたクモ女が映っている事だろう。
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