第二章

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「はっ…はぁっ…」 あの痣から一週間―――――三蔵は高熱を出して寝込んでいた。 昨夜は久しぶりの個室だった。 朝になっても三蔵が起きて来ないので起こしに行った八戒が部屋で倒れているのを見つけたのだ。 宿の主人に事情を説明し了承を得たものの申し訳なさそうに二人部屋に移ってくれないかと頼まれ現在は二人部屋だ。 それから39℃を越える高熱が続いている。 「三蔵………」 荒い息をつき汗だくになっている三蔵を見てもっと早く対処出来ていれば、と意味もなく思った。 今思い返せばこの一週間の間に兆候らしきものは色々あったような気がする。 戦闘中にふらっと身体が揺れる。 食欲が少なくなりあまり食べなくなった。 移動中や宿に泊まっているときによく寝るようになった等。 疲労が溜まっただけのようにも思えるがあの妙な痣に関係があるようにも思える。 ふと三蔵を見てみると薬が効いたのか先程よりも穏やかな寝息をたてている。 ほっ、と安堵の息を吐くと悟空と悟浄がいるもう一つの部屋に向かった。 ガチャリとドアを開けると二人はほぼ同時に顔をあげた。 「三蔵は?」 「大丈夫ですよ悟空。今、薬が効いて寝ています」 不安そうな顔で聞いてくる悟空にニッコリと笑って答えると安心したような顔になった。 「お疲れさん」 労いの言葉をかける悟浄に八戒は苦笑いした。 「悟浄や悟空も待っているだけでしんどかったでしょう?」 二人は自分に出来ることは何も無いと、せめて邪魔にならないようにとずっと部屋にこもっていたのだ。 「邪魔になるよりはマシだろ?」 「うん」 ニッと笑う二人に八戒も思わずつられて笑った。 そのとき―――――    
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