第三章

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部屋には荒い息をついている三蔵。 その背中には天使のような白い翼。 しかし三人が驚いたのはそれだけではない。 三蔵は宿に備え付けの浴衣を着ているのだが、何かがおかしい。 そのおかしさに最初に気付いたのはやはり八戒だった。 「三蔵…胸…?」 「あ?って、マジ?」 「何で膨らんでんの?」 八戒の呆然とした呟きに悟浄と悟空の二人も三蔵の胸を見て呆然とする。 浴衣の合わせの隙間から見えるのは女性のような膨らみがある胸。 更によく見てみると細いのはそのままだが全体的に丸くなっており女性的な線になっている。 三蔵は自分の胸を見て特に慌てる様子もなくきっちりと見えないように浴衣を直した。 「何で驚かねぇの?」 「…女だから」 衝撃的な言葉にピシッ、と三人は固まった。 そして 「「「ええええええ!?」」」 突然の叫び声に三蔵は顔をしかめる。 「邪魔するぜ」 そこに追い討ちをかけるようにいきなり観世音菩薩が現れた。 それと菩薩の他にもう一人。 肩にギリギリ届くぐらいの銀髪に八戒とは違う明るい緑の瞳。 中性的な顔立ちをしているが男のようだ。 しかしそこまでは普通なのだが彼の背中には翼があった。 三蔵とは対称的な黒い堕天使のような翼。 「紫苑!!」
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