第三章

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彼はキョロキョロと辺りを見渡すと三蔵を見て嬉しそうな笑みを浮かべながら抱きついた。 「え、ちょっ」 「会いたかったよ紫苑!!」 彼は戸惑いを隠せない三蔵にはお構い無しに頬にキスをした。 菩薩以外の四人は固まる。 しばらくして 「てっ、めぇ…何してんだよ!!💢」 「手出すんじゃねぇよ!!💢」 「いい度胸ですね(黒笑)」 「まぁ待て」 くくっ、と笑いながら止めに入る菩薩。 明らかに楽しんでいる。 「誰だよこいつ!三蔵に向かってすっげぇ馴れ馴れしいじゃん!!」 「こいつじゃなくて緑苑だ(黒笑)」 八戒並みの黒い笑みの彼――――緑苑に悟空と悟浄は震え上がった。 八戒は気が合いそうですねぇ、と笑っている。 「…ってか誰?」 「あいつは金蝉…じゃなかったな。三蔵の兄貴だ」 悟浄の疑問に答えたのは観世音菩薩だった。 再び固まる四人。 「お前本当に……」 「お前じゃなくて“お兄ちゃん”って呼んでくれ!!(涙)」 「お、お兄ちゃん?」 緑苑に抱きつかれ困ったようにお兄ちゃんと言った三蔵に密かに萌えを感じる下僕一同。 「あ、俺の紫苑に何かしたらタダじゃ済まさねぇからな(黒笑)」 そんな雰囲気を感じ取ったのか三蔵を抱き締めながら牽制する。 「ぷっ、あっはっはっ…はぁ、退屈させてくれねぇなてめえらは。まぁ仲良くやれよ」 我慢出来なくなった菩薩は大声で笑うと現れたときと同様唐突に消えた。 後には睨み合っている緑苑と下僕たち。 そして何が起こっているのか全く分かっていない三蔵が残された。  
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