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「その痣どうしたよ三蔵」
「痣?」
不思議そうな声を出し首だけ動かして振り返った三蔵。
声と同じく不思議そうな顔からして三蔵も知らないようだ。
「どこかにぶつけたの?」
「ぶつけたとしてもこんな痣にはならないと思いますよ…て、あ」
八戒がすっとんきょうな声をあげたので二人が視線を辿ると、痣がスウッと消えていった。
「なんだ?」
自分の背中を凝視されているので居心地が悪そうに身じろぎをする。
「……消えた」
「は?」
「痣消えたぜ三蔵」
「八戒の気功じゃねぇのか」
「いえ。痣には気功をしていませんから」
しばらくの沈黙。
「…チッ。傷は治ったのか」
「え?ええ」
突然の言葉に戸惑いながらも頷く。
すると再び破れたアンダーウェアを着て法衣をきっちり元に戻す。
「三蔵?」
「考えても仕方ねぇだろうが。行くぞ」
呆気にとられる三人を置いてさっさとジープへ向かう。
「置いていくぞ」
「あ、はい💦」
「ったく💦」
そうして急いで三人もジープへ乗り込む。
この痣が、始まりだった―――
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