天草銀物語

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途中、ガソリンスタンドに寄る。そこには綺麗なスラムダンクの全巻がそろっていた。俺はどうせ見れないだろうな、とは思ったが足をくんで格好付けて、強引に読んだ。昔は感動と興奮で涙まで流したシーンを読んでも集中できない。そんな中でも周りが輝やいて見えた。店員の姿がやたら格好よく見え、帽子が妙に格好良かった。腕時計がやたらうらやましかった。家に帰り、母親に「ただいま」と言う。「おかえり」と言われる。俺はすぐに自分の部屋に行く。壁が穴だらけの部屋、しかし、張り紙で全部、直してある。俺はもう壁を殴るのをやめようと思った。テレビや本は相変わらず集中できないが時間が経つのが早く感じた。夕方、何年振りかに家族4人で外食に出かける。回転寿司だった。母親が言う、「お寿司はカロリー低いよ」と、俺はあっという間に20皿食べた。でもまだお腹が減っていた。ちょっと夜更かしをした。病院ではいつも9時に寝ていたので、10時までテレビを見ていた。この頃ははもうテレビを見たら、番組が始まって、CMにいくたんびに時計を見て、5分経った、10分経った、15分経ったと、見たくなきゃ見なきゃいい、普通そう思うだろう、けど凄い見たい、普通に見える、言っていることがわかる、なのに見れない。お化けが怖い人間がホラー映画を見る。英語がわからないのに外国の番組を見る。全く違う。多分、普通の人は体験しない感覚だろう。でも、そっちのほうがいい。俺は人間していい体験としなくていい体験があると思う。これは後者だ。するもんじゃない。朝もいつもより3時間くらい遅く起きた。
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