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誰かに電話をしようと思ったがしなかった。携帯を持っていなかった。両親が隠し持っていた。俺が障害をもったのをいいことに俺のことをなめている。人間、信じられるのは己と金と力だけだ。俺は教育熱心だった母親を力でねじふせ、やりたいようにやった。親父にも文句を言わせなかった。俺は小学生の時にいじめにあう。やり返した。中学生でいじめをする。しかし、自分よりも弱いものしかいじめない。人間は動物とは違う。たとえ、そういうふうに生まれたとしてもやりようはいくらでもある。だって武道が覚えられる。凶器が使える。知識が使える。そんなことができるのは人間くらいだ。俺は押し付けられるのが大嫌いだ。しかし、親はまた、自分の理想を押し付けようとしていた。余談だが、今日、親父が目の前で死ぬ夢を見る。ウィルスで体中、真っ赤になってボツボツができていた。でも俺は泣かない。泣きすがる母親にも何もしない。ただ、親父が着ていた上着をきた。着ないのは死者に対する愚弄と思ったからだ。俺も体にボツボツが出てきて目が覚めた。目覚めが悪い、この前も、親父の腕を何度も包丁で刺した夢を見た。俺は家族と一緒にいちゃいけないと思う。だから1人で暮らしている。今は、けれど、その時は親に従った。その時に生きていくことは病院で暮らす以外には考えられなかった。病院で生活するぐらいだったらプライドを捨てるほうがよかった。その時はもう、俺の高かったプライドはすでにかけらほどもなかった。
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