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「今日も残業かい?」
ガサリとデスクに置かれるコンビニ袋。
俺はパソコンのディスプレイから顔を上げて、彼を見上げた。
「あぁ…書類がこんなにも残ってんだ」
デスク脇に積み上げられた書類の山をバンバン叩き笑う。
「これ一人で?」
縁無し眼鏡の奥で心配を隠せない瞳が俺を見返す。
昼間まではシッカリとオールバックに固めていた髪型は、崩したらしく自由に遊んでいた。
「仕事ですからー」
俺は椅子に座ったまま伸びをする。
気が付けば時計の針は9時を差している。
(もうこんな時間か…)
俺はまだまだ積み上がっている書類を片付ける為にディスプレイと向き合った。
「嘉弘、その前に食えよ」
トントンと肩を叩いた指はそのままコンビニ袋に向けられる。
「もしかしてこれ俺の?」
「気に食わないかな?」
困った様な、でも楽しそうに微笑む彼。
俺は大袈裟に首を横に振る。
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