5/13
前へ
/13ページ
次へ
「あ、ありがとうございますっ」 「気にしないで、段ボール持つよ。君、新入社員だろ?」 「ありがとうございます…。はい…失敗しかしてませんが」 俺がそう言うと彼は声を上げて笑った。 その時の驚き様は言葉じゃ表せない。 よくエリートサラリーマンと言われる格好をした人が、段ボール箱を抱えて笑っているのだから。 明らか高いスーツに身を包み、縁の無い眼鏡の奥には冷たそうな瞳がいる。 あまり笑わなそうなイメージだったのだが、初対面から見せられた無防備過ぎる笑みとは全く噛み合わない。 俺の頭の中は一人でリオのカーニバル状態だ。 …別に興奮しているんじゃなくて、唯単にごちゃごちゃしているわけ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加