6/13
前へ
/13ページ
次へ
「君はなかなか面白いね」 「え?」 面白い事を言った覚えの無い俺は思わず彼を見返した。 エレベーターに乗り込んでから彼はシャンと背筋を伸ばし、前の重く閉まった扉を見つめていた。 「新入社員なのだから失敗して当たり前じゃないか。君は偉人じゃない。極一般的な日本男児だ、人間なんて失敗をしながら成長するものさ。だから失敗を出来る限り今の内にしておきな」 彼は外見とは似ても似付かない程の優しい笑みを俺に向けた。 その時かもしれない。 俺が恋に落ちたのは…。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加