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「必要な物だけ置いてあるから。必要ないのはあの段ボール箱の中」
彼が指を向ける先は別の部屋。
寝室だろうか。
「見ても良い?」
「どーぞ、くだらないけどね」
そう言うと買ってきた夕飯の材料をキッチンに持っていった。
俺はお言葉に甘えて寝室の部屋へ入った。
やはりそこも何もない…ベッドと机と椅子に本棚だけの寝室だ。
片付けすぎではないだろうか。
彼が言っていたのは多分その中で異色な雰囲気を放つ段ボール箱。
表に殴り書きで『ゴミ』と書かれていた。
彼らしいと言うからしくないと言うか…。
入って直ぐの入り口脇に放置されている段ボール箱の蓋を開ければ中から出てきたのは、最優秀の表彰状やトロフィーに何かスポーツの表彰状や写真…。
女性との写真が多い。
大体は彼は困った表情をしていたが、一人だけ微笑んでいた。
彼女だろうか。
寄り添っている姿が幸せそうだ。
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