囚われのお姫様

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「いつの間にぶつけたのかしら?」  じっと見る、紫色。ぷにっと押してみるが、痛くない。 「婚約の証だよ」 「寝ぼけているの?」 「寝ぼけているのはマリーでしょ? ほら、早くお風呂入って」 「あ、うん……ってちがーうっ」  あまりに普通の応対で、危うく普通にお風呂まで誘導されるところだった! って、すでにお風呂にいるのだけれど。 「大丈夫だから」  痛む腰を我慢して、王子を外へ連れ出す。 「遠慮しなくていいって言っているのに」 「遠慮じゃないわ、本気でいやなの」  ガチャンッ。風呂場のドアを閉めた。 「いてて……」  半脱ぎになったワンピースを床に落とす。薬を握りしめて、白い湯気の中に入った。ぽちゃん、とお湯に薬を入れた。
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