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ミズキの部屋を出て左に曲がり、しばらくまっすぐ歩くと右に曲がった。
――迷路だわ。
同じようなドアが、同じような間隔で続く。1人だったら、すぐに迷える。
ツィーニはひとつのドアの前で止まり、メイドがそのドアを開けた。
「どうぞ」
言われるがまま、中に入る。
「う……わあ」
そこには色とりどりの草花が、所狭しと生い茂っていた。趣味レベルじゃないわ、この種類の豊富さは!
「すごい」
素直に出る感嘆の声。
「マリー様」
メイドに呼ばれ、アンティーク調の椅子に座る。わ、立派な椅子。この空間によく合っている。
「証について……丁寧に教えてあげるよ」
ツィーニは私の正面に座り、含みのある笑いを浮かべた。
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