【1】プロローグ~蠢く闇~

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悠裏様 ――――――――――― 『――セプト? 君はいったい何を……』   レインはそう思いながらも、セプトの言葉で変わっていく皆を見届ける事しかできなかった。   その後、急激に世界は変わっていった。 一日目で城の者が、二日目で国の有力者が、週を跨いだ時にはすでに国全体がフィアレイク国を敵とみなし、戦争の空気へと変わっていたのだ。   レインはその中でただ1人、反対……とまではいかないまでも、開戦するのを決めかねていた。   何故なら、事の真偽を1回も調査せずにいたのである。 レインはドリー王に調査を直訴したが、返ってきた答えは……。   「それは……できぬ」   「何故です?……確かに国にとって、大事な人間を……亡くしました。 しかし、だからといって調査もせずに開戦とは……」   レインは亡骸を抱きしめたあの日の事を思いだし、奥歯をギュッと噛みしめた。   「レイン、気持ちは判るが今はもうそんな事態では無いのだよ。 今は……国全体が求めているのだ」   努めて優しい口調のドリー王は、レインをたしなめるように言い聞かせた。   「だけど……!!」   「もう何をしても事態はおさまらんのだ……諦めろ」
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