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悠裏様
―――――――――――
『――セプト?
君はいったい何を……』
レインはそう思いながらも、セプトの言葉で変わっていく皆を見届ける事しかできなかった。
その後、急激に世界は変わっていった。
一日目で城の者が、二日目で国の有力者が、週を跨いだ時にはすでに国全体がフィアレイク国を敵とみなし、戦争の空気へと変わっていたのだ。
レインはその中でただ1人、反対……とまではいかないまでも、開戦するのを決めかねていた。
何故なら、事の真偽を1回も調査せずにいたのである。
レインはドリー王に調査を直訴したが、返ってきた答えは……。
「それは……できぬ」
「何故です?……確かに国にとって、大事な人間を……亡くしました。
しかし、だからといって調査もせずに開戦とは……」
レインは亡骸を抱きしめたあの日の事を思いだし、奥歯をギュッと噛みしめた。
「レイン、気持ちは判るが今はもうそんな事態では無いのだよ。
今は……国全体が求めているのだ」
努めて優しい口調のドリー王は、レインをたしなめるように言い聞かせた。
「だけど……!!」
「もう何をしても事態はおさまらんのだ……諦めろ」
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