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Feero様
―――――――――――
「あ、あの……っ!?」
どうやらそういうことをされることに慣れていないらしい。顔を真っ赤にして慌てる彼女にレインはにっこりと微笑んだ。
「初めまして、俺は――私はレイン=シェフィールドと申します」
「は、初めまして! フィーネ=フィアレイクと申します。不束者ですが、よろしくお願いします……!」
緊張しているのか、まるで暗記した文を読み上げるように堅い言い方をしたフィーネは、レインの目にはただただ可憐に映った。
婚約を嫌がっていた先程までの自分を殴り飛ばしてしまいたい。こんな可憐な少女に対して、自分は一体何を考えていたのか。
「あ、あの……?」
押し黙ってしまったレインにフィーネは不安そうに問いかけ、レインはハッと気づいたようにフィーネを直視した。
「失礼しました、少し考え事をしてまして。あなたは……」
「あ、あの……一応婚約者なのですから、敬語を使うのはやめにしませんか?」
「……そうだな、フィーネ」
レインが名前で呼ぶと、フィーネの表情が花のようにパッと明るくなった。
「――はい、レイン」
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