12人が本棚に入れています
本棚に追加
ひろひろ様
―――――――――――
レインは疑問を抱きながら、手にしていた両刃の長剣を鞘に収める。
「眠れないって……何処の誰が?まさか、お前じゃないよな……セプト」
一瞬、穏やかな表情になり微笑むレイン。いつもは口に出さない冗談がレインの口から零れた。
「はははっ!冗談が上手いなレインは……ここには、僕と君、二人しか居ないだろ?少なくとも今は……」
滅多に聞くことが無いレインの冗談を聞いたセプトは、瞳に涙を溜め、声を上げて笑う。
出陣は明朝とは言え、時間的には少し速く、まだ時間がある。
当然、他の兵士達は、皆寝床に就いており起きてくる気配は無い。
仮に誰かが起きて来ようとも、この深い霧の中では気付かないだろう。もし、気付くとしたら、セプトみたく傍に来なければ気付かない。
「ふふっ、それもそうだな」
レインは薄く笑い、傍にあった小さな石に腰掛け、フィアレイク国があると思われる方へと視線を向けた。
「やっぱり気になるのかい?」
「気にならない――って言ったら嘘になるな……」
最初のコメントを投稿しよう!