【1】プロローグ~蠢く闇~

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悠裏様 ――――――――――― レインは自分に問いかけるように呟き始めた。   「『軍の士気』……か。今一番、大切なのは一刻も早く終わらせること……」   レインは自分の中にある迷いを無くすために、何回も何回も繰り返す。   だが、それでもレインの心は一向に晴れない。 それどころか、迷いが大きくなっていく。   その思いにかられるのは、フィアレイク国がシェフィールド国を裏切ったという事を王から直接聞いた時である。   「ドリー王、緊急の話とは何でしょうか?」   レインは、ここまで慌ただしく呼び出された事はない。 それだけに、レインは不安が大きかった。   「レイン……。お前には特に凶報であるやもしれぬな」     ドリー王は口に蓄えた髭を触りながら、思案するように目を閉じる。   「――どういう事でしょうか?」   「…………フィアレイク国が、我がシェフィールド国を裏切りおった!」   レインは聞いた瞬間に心臓を、わし掴みされたような衝撃を覚える。 目の前が真っ白になり、頭の中がぐるぐる回る。   それからはよく覚えていない……が1つ気になる事があった。 裏切ったという理由が余りにも、曖昧だったからである。  
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