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悠裏様
―――――――――――
レインは自分に問いかけるように呟き始めた。
「『軍の士気』……か。今一番、大切なのは一刻も早く終わらせること……」
レインは自分の中にある迷いを無くすために、何回も何回も繰り返す。
だが、それでもレインの心は一向に晴れない。
それどころか、迷いが大きくなっていく。
その思いにかられるのは、フィアレイク国がシェフィールド国を裏切ったという事を王から直接聞いた時である。
「ドリー王、緊急の話とは何でしょうか?」
レインは、ここまで慌ただしく呼び出された事はない。
それだけに、レインは不安が大きかった。
「レイン……。お前には特に凶報であるやもしれぬな」
ドリー王は口に蓄えた髭を触りながら、思案するように目を閉じる。
「――どういう事でしょうか?」
「…………フィアレイク国が、我がシェフィールド国を裏切りおった!」
レインは聞いた瞬間に心臓を、わし掴みされたような衝撃を覚える。
目の前が真っ白になり、頭の中がぐるぐる回る。
それからはよく覚えていない……が1つ気になる事があった。
裏切ったという理由が余りにも、曖昧だったからである。
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