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Feero様
―――――――――――
「フィア……レイクの……紋章が入った……鎧を着た兵士たちが……」
「……っ!? 分かったもういい、もう喋るな!」
息も絶え絶えに話すオイフェを抱えながら、レインは叫ぶ。心の中ではフィアレイクという単語に激しい動揺があったが、今はまずこの大切な命が失われることにレインは恐怖した。
「王子……私は……この国に生まれて……」
「喋るなって言ってるだろうがっ!? オイフェ、これは命令だ!」
しかし、オイフェはにっこりと笑って。
「――幸せでした……」
「オイフェ……?」
レインの手を握っていた感触が、ふっと弱まる。そのままオイフェの腕は床に落ち、オイフェはゆっくりと目を閉じた。
「オイフェ……ちょっと待て、ちょっと待て。命令だ、目を開けろ。――開けろよっ! 早く開けろっ!」
命が消え去ったオイフェの体を抱きしめながら、本能で彼が死んだことを理解したレインは涙を流しながら絶叫する。
そして騒然としていた謁見の場にいた人間の中で、一人の青年が慟哭するレインに近づき、軽く肩を叩いた。
「レイン――これはフィアレイクの宣戦布告だよ」
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