―好きだった人―

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「それと…」 「えっ?まだあるの?」 私がそう言うと加藤君は手に力を入れた。 「俺は担当作家さんだからといって、食事に誘ったり用も無いのに家行ったり、ご飯を作ったりしないよ」 「…それって」 「全部木下さんだから。今度こそ逃がす気は無かったからね」 何か……すごい告白を聞いたような。 「もう絶対離す気は無いから覚悟しといてね」 何だか今更だけど……加藤君って…加藤君って 凄い人かも…。 でも…… 「私も絶対離す気は無いから覚悟してね」 二人で微笑みを交わし硬く手を繋いで月明かりを歩く。 昔好きだった人は 今も好きな人です。 .
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