―失恋しらずの女―

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数日後友達の梨紗と馴染みのバーに居た。 因みに、私の原稿を勝手に出版社へ持っていったのはコイツだ。 「ふ~ん。テーマが失恋ねぇ」 梨紗がジントニックを啜りながら呟く。 「うん」 「あんたには最も難しいテーマだね」 「うん」 そうなのだ。 何人か恋人が居たことはあるのだが、全員私からサヨナラを言って別れてる。 何だか人に流され易いというか何というか…。 『付き合って』 『うん』 という感じで恋愛感情がないまま付き合ってしまうのだ。 温度差が違いすぎるなと感じると、めんどくさくなって私から別れ話を持ちかけていた。 多分、私は恋愛に向いてないんだと思ってしまう。 恋愛小説家なんだけどね。 今迄本気で好きになった人は、加藤正輝だけだった。 .
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