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「おじ様、随分と自信がおありですことねー」
そう言って、ちらりとオヤジのカードを盗み見ていた。
ったく、カジノのオーナーは、イカサマはもっとスマートにやれと、娘に教えなかったんだろうか。
俺のカードは、スペードの10,J,Q,K、そしてダイヤの2
……おいおい、あと一枚でロイヤルストレートフラッシュだ。
普段なら、ここで隠し持っているスペードのAを滑り混ませるんだが……。
『正直者は大好きだ』
エミリの目がそう言っていた。
――わかったよ。
俺はエミリを信じて、有り金を全部賭けて、1枚を交換した。
引いたカードは、ハートのA……エミリ、このやろう。
やっぱりイカサマしてやろうか……と、エミリの顔を見る。
無表情のままだったが、目がまだ言い続けていた。
『正直者は大好きだ』
――わかったよ。わかりましたよ。
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