5人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
エミリとの勝負はいつも1対1のポーカーだ。
5枚のカードがエミリと、俺の前配られる。
どんなカードが来るかは、運任せ……と、言いたい所だが、ここは一流カジノ。
配られるカードはディーラー次第。
ダイヤのエースに、ハートのクイーン。クラブの8に、スペードの2、そしてスペードの5。
……エミリの奴。ブタ札よこしやがって。
いらないカードを捨てて、新しいカードを引く。
どんなカードを引くかは、運次第……と言いたい所だが、やっぱりここは一流カジノ。
どんなイカサマでもバレなきゃいいんだ。
俺は5枚のカードを捨て、新たに上から5枚、カードを引く……と見せかけて、上から6枚目のカードから5枚引いた。
俺ぐらいの一流の腕と指使いがあれば、こんなのワケない。
エミリのことだ。上から5枚は全部ブタ札になるようにしてるに違いない。
……しかし、手の中のカードは、てんでバラバラ。見事なまでのブタ札だった。
エミリも5枚を捨てて、上から5枚カードを引く。
「……私は、正直者が好きなんだ」
エミリが広げたカードは2のスリーカード。それから。スペードのエース。とダイヤの8。
こりゃ見事にやられた。
「OK。今日から俺は素直な男になるぜ」
エミリはクスリともニヤリともしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!