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「あっありがとうございます。」
そう言うと起き上がり、出血した手にハンドタオルを当てた。
「あー、すまないね、お客さん。そんなの気にしなくていいのに。」
レジから接客を終えた店主が歩み寄ってきた。
気がつくと店内の客は私しかいない。
「お客さんは大丈夫だったかい?」
「えぇ、何ともないです。それよりも床ひどいですね。」
ぐちゃーっと花が哀れな姿になっている。
「あーぁ、こりゃ店じまいだな…」
そういうと店主は片付け始めた。
ケガをした店員も何とか片付けようとしたが出血が止まらず立ち尽くしていた。
見兼ねた私は、奥にあったホウキとチリトリを持ってきた。
「私手伝います。店員さんは、とりあえず出血が止まるまで休んでなさい。」
「えっ!?でも…」
「いーのよ。どうせ暇だし、ちょうど忘れたい事あったから気分転換に何かしたかったの。」
「悪いねー、お客さん。申し訳ない。」
そう言って、店主は片付けながら店のシャッターを下ろした。
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