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そうして片付け終わったのは、夕暮れ時だった。
店主から何度もお礼を言われ家に帰ろうとした時だった。
「あっあの…」
呼び止めたのは、さっきの店員さんだった。手には包帯がグルグル巻きにされ血が滲んで何だか痛々しい。
「あっ手大丈夫?」
「はい、なんとか。すみません、初めてのバイトであんな事になるとわ。ご迷惑おかけしました。」
「いいのよ!頑張ってね!」
「あっあの…こっこれ…」
手には一輪の向日葵が。
「お客さん、何だか元気なさそうだったから。それに忘れたい事があるって言ってたし、向日葵のように元気出して下さい!」
嬉しかった。
さっき言った事覚えてくれてたんだ。
「ありがとう…えっと…」
ふと店員さんの名前を見ると<熊倉>と書いてあった。
「熊倉くん!」
「いぇ!またのお越しをお待ちしております!」
少し顔を赤らめ、目をキラキラ輝かせながら言った。
(おっ私に惚れたか!?なーんてね。んな訳ないよね。)
私は店を背に歩き始めた。
犬にも花にも、そして熊倉くんにも癒されてしまった。
それからというものの、毎日お店に通うことにした。
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