靴屋の話

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お店の中も変。見たことのない靴ばっかり並んでる。 「此れはねぇ、コルセット付きの靴だよ。素敵でしょう」 お店の人が後ろから声を掛けてきた。 ゾッとするほど白い指が肩の上に置かれる。毛虫が這うのにも似た感覚が襲った。 お店の人が示した靴は、編みブーツみたいではなくて、足の裏から甲にかけて、ぐるっとコルセットの形になっている。そして、淡いピンク色をしている。 「何で靴にコルセットなんて付いてるの」 「足だって細くなりたいさ。コルセットで締め付けてやれば細くなるだろう?」 またヒヒヒと笑って指を差す。 「あれをごらん?」 その先には、スポンジで出来ている様な板状のものがある。 「なぁに、あれ。靴じゃないわよ」 「あれは足のベッド。ほら、ちゃんと枕もついてる」 良く良く見ると小さな水玉模様の塊が端っこに乗っていた。 他にも足の為の靴や、ベッドみたいに靴とは言えないものまで沢山あった。 「本当にくだらない。何でこんな格好悪い靴しか無いの」 「勿論、足が欲してるからさ」 訳が分からない。もう此処には来たくない。つまらないもの。
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