11)時をかけるオッサン

《時をかけるオッサン》

加納
「はい。一年後のオープンに向けてパンフレットを作成するんですが、今そのモデルを募集していまして」

リサ
「え!? 結婚式場のパンフのモデルって事は、ひょっとしてウェディングドレスとか着ちゃうの？」

加納
「勿論です。と言いますか、ウェディングドレス以外は着ません。それで、モデルを地域の方にお願いしたく、こうしてご近所を回って参加を呼び掛けているんです」

美智子
「ちなみに応募資格は？」

加納
「特にありません」

今井
「皆さん、どうします？」

鶴見
「モデルかぁ。面白そうだな」

リサ
「ウェディングドレス着てみたいなぁ」

春菜
「私も」

美智子
「（切実に）私も着たいです！」

今井
「鈴木さんが言うと重いです」

美智子
「夢なんです！ 時間がないんです！」

春菜
「（なだめて）分かった分かった」

鶴見
「ウェディングドレスは女性の憧れかぁ」

木下
「私も着たい」

鶴見
「何で!?」

木下
「思い出作り」

美智子
「私の夢と木下さんの思い出作りを一緒にしないで頂きたい！」

今井
「まぁまぁ、落ち着きましょう」

加納
「新郎新婦のモデルを募集していますので、皆さん奮ってご応募下さい。これが応募用紙です」

加納、応募用紙を配る。

美智子
「当選した暁には、本当にウェディングドレスを着られるのね？」

加納
「はい。撮影は半年後になると思います。では、よろしくお願いします」

加納、玄関から退場。