《時をかけるオッサン》

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加納 「そもそも未来は変えた事にならないんじゃないでしょうか?」 安原 「どういう事?」 加納 「だって、全員過去から未来に進んで生きているんですよ」 安原 「当然だ」 加納 「考えようによっては、人間は地球と言う名のタイムマシンに乗って、日々歴史を変えながら未来に進んでる」 安原 「何を気取っている」 加納 「例えば、今僕があなたを殴るとする」 安原 「やれるものなら、やってみろ」 加納 「例えばですよ。でもそれって、過去の自分達にとって、歴史を変えた事になりますか?」 安原 「意味が分からない」 加納 「ですから、今僕があなたを殴っても殴らなくても、過去から見たら、歴史を変えた事にはならない」 安原 「分かりません」 加納 「手強いなぁ。みんな大小に係わらず、常に物事の選択をしながら生きてますよね?」 安原 「そうか?」 加納 「例えば、小さな選択で言うと、今日は何を食べよう? ラーメンにしよう。とか」 安原 「自分なら、焼き肉にする」 加納 「それでも構いません」 安原 「歴史と焼き肉、どんな関係があるんだ?」 加納 「じゃあ、大きな事で言うと、核ボタン押しちゃおう。とか」 安原 「ナニっ! どこに向けて発射した!」 加納 「例えばですよ。で、その積み重ねで歴史が形成される。簡単に言うと生きている以上は、常に歴史を動かしている事になると思うんです」
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