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「ん?」
情けない声を上げ目を覚ます仁。
仁の視界に白い天井が映る。
消毒液やら医薬品の匂いがするこの部屋はどうやら医務室らしい。
体を起こすとカーテンが敷かれ閉鎖的な空間になっていた。
「あれ?ここどこ?ん、喉がちっと痛い?」
仁は思い出す。さっきほどまで、鉄也と組み手をしたことを・・・そして、鉄也にぼこぼこにされたこと。土下座した辺りから記憶が曖昧になっている。
(俺は、なんでここにいるんだ?)
そんな事を考えてると、カーテンが開く。
そこには鉄也の姿があった。
「よう。奈美さん。仁が目を覚ましたすっよ。」
すると、白衣を着た女性がカーテンごしから仁を覗いく。
「こんちは、気分はどう?えーと仁くん?」
首を傾げたその女は大人ながら何処か子供ぽっい印象を仁に与えた。
「名字は・・・何だっけ?」
知らないのかよと、仁は思うが仁も鉄也の名字を知らない。
「臼井。」
仁は自分の名字2人にを教える。
「臼井仁君ね。覚えたよ。気分はどう?どこか痛いとこはある?」
あれだけ痛めつけられたのにも係わらず痛みはなかった。
強いて言うならば喉が痛かった。生唾がうまく飲み込めない。「喉が痛いです。」
奈美がベッドに近づいて仁の体にベタベタ触れる。
(いや、体はどうってことないんだけど。)
その間に奈美の顔が近づく。そして、思春期真っ盛りの仁は
(この人、綺麗だな。)
と評価する。
黒く長い髪をした奈美は身長も高く、顔も整っていた。長い白衣をだらしなく開け、白いワイシャツ、黒いパンツ、とにかくモデルみたいだが何となくルーズな感じがした。
まぁ奈美は美に対し興味がないので仁がそう感じるのも仕方がなかった。
しかしそのルーズさが他者に親近感を与える。
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