行間

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ふむふむ、と奈美は感心する。  「痛いのは喉だけ?それにしても、すごい回復力だね。仁君がここに運ばれて来た時、打撲とか打ち身、あと関節が無理やり伸ばされて筋肉が炎症を起こしたりしていたんだけど。」  説明を聞いて、その症状に仁は覚えがある。  「悪い。あん時、お前にヒデェこと言ったのは本意じゃねぇからな。師匠の命令だからな。精神にダメージを与えれば目覚めるかもしれないからって言うからよ。だから、あれは、俺の本心じゃねぇぞ。でも、結果、解放モードになれたから良しとしよう。」  鉄也が言い終えると今度は奈美が口を開く。 「私が見る限り動いても大丈夫。自覚症状も別に大したことないしね。じゃ、後にてっちん、昼ご飯でも奢って仲直りでもしなさいっ。あ、そうだ。自己紹介まだだったね。私は楠奈美。ここで医者やってまーす。」  奈美とは仲良く慣れそうな気がした仁。  「ケンカなんか、してねぇすっよ。じゃ、仁いくぞ。」 と言って歩きだす。 「何処へ?」  仁は聞く。鉄也は一言。  「腹減った。昼飯だ。」 そう言って鉄也は仁をベッドから降ろし医務室を後にした。  奈美をさっきまで仁が横になっていたベットを眺めた。  (仁くんか・・・あの異常な回復力は一体?考えても仕方ない、私もお昼にしよーと。)  そういって医務室に設置されている回線で出前をとる奈美だった。
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