訓練

24/57
前へ
/898ページ
次へ
閻が驚いたのは仁が解放モードになった事でなくスローになった、という仁の言葉だ。 解放モードになればスローな世界は体験できる者も何人かはいる。 それは動体視力が向上し、思考の回路の回りが早くなるために起こる。 しかしスローの中で自分だけは普通に動けると言う仁の何気ない発言はかなり特殊なケースだ。取り敢えず仁の質問に答える。 「そうだ。言葉の通り、アドノマリーの力を解放する状態で体からオーラを噴出する。こんな感じだ。」  説明するより実際に眼で見た方が仁に何らかの影響を与えると考えた閻は目を閉じて  (解・・・)  実際に解放モードを見せる。すると仁が出した量のオーラを凌ぐ程のオーラを閻が出す。  仁はすげぇと閻のオーラを見て恐怖さえ覚えた。なんとも言えない威圧感や殺気に似たような物を感じる。 「これが解放モードだ。普段の状態を通常モードと言うが、その状態で跳べば俺はせいぜい20メートルしか跳べん。だがこの状態だと俺は100メートル跳べる。」  と説明しその室内で跳んでみせた。助走を何歩かつけて跳んだ閻は天井すれすれまで跳び綺麗な放物線を描き室内の端まで跳んだ。  今、仁と閻は80メートル位離れている。 そして閻は60メートルをまで走るとのそこで止まる。  そしてボクシングスタイルで構え右足で地面を蹴ると一瞬にして仁の目の前まで距離を縮めた。仁はぶっかると思い体を咄嗟に身構えた。まぁ、意味もない行為に終わったのだが。  「解放モードであれば身体の力は全て上がる。跳ぶ距離が延びたり自分の間合いの距離が伸びる。また、それだけでなく、握力、腹筋力等もな。まぁ、個人差はある。」 すると鉄也が戻ってきた。鉄也は解放モードの閻を見て  「状態変化の説明すっか?」  閻はそうだと、と言って通常モードに戻る。
/898ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2270人が本棚に入れています
本棚に追加