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閻は間を置いて
「殺し屋は左右から拳を受ける形になっていたが・・・拳は殺し屋に届かなかった。だが殺し屋は血に塗れていた。」
仁と鉄也は黙って聞く。
「よく見ると血は殺し屋のじゃねぇ。そう仲間の2人の返り血だ。しかも2人の腕が無い。そして2人はゆっくり、その場に倒れ首から血を流していた。俺は気が付いた、殺し屋の片手にはナイフが握られていた。そう、殺し屋は一瞬で2人のアドノマリーを切り伏せた。身体強化の能力を発動させた2人はナイフで切られるような奴らじゃない。」
鉄也は物質変化のアドノマリー故に、身体強化した奴等を昇華した刃物で斬りつけても腕がばっさり、なんてならないことは知っている。精々少し深い切り傷を付ける程度だ。
鉄也は玄人でもそんな芸当は出来ないと考える。よって閻の話が事実であるか疑っている。また、もしその話が事実なら自分に出来ないことをやってのける殺し屋に対し鉄也は自分の弱さに腹が立つ。
「それは本当の話すっか?」
鉄也から刺々しい物を感じ取った仁は声を掛ける勇気すらない。
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