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仁は床から起き上がろうとするが精神的に起き上がれなかった。
自分の弱さに腹がたった。ここで、参ったと宣言をすれば痛い思いをしなくてすむが悔しさがそれを拒む。以前の仁ならそうしたが今はなんとなくそれが出来なかった。したくなかった。自分を変えたかった。
「まだ、やれんのか?」
と言葉をかける鉄也。
鉄也が攻撃的かつ口調が変わったのは、閻に言われたからだ。目的は仁を通常モードにするため怒りや悔しさと言ったものを湧かせ、それが通常モードへと変化を起こす鍵になるからだと閻は考える。だから、ボコした後に愚弄してやってくれと鉄也に命令をした。鉄也は乗り気ではないが一応従う。
「参ったなんて言ってない。」
と言って仁は床から起き上がろうと腰を上げる。その瞬間、鉄也は仁の胸に右足で蹴を入れる。
仁は後ろに倒れた。床をのた打ち回る。痛みと恐怖で全身が震える。そして、痛みが少し引いてきたところで仁は震えた声で
「ボ、ボクシングじゃないのかよ?」
鉄也は笑いながら
「はぁ?お前ボクシングぽっいことしたか?してないよなぁ?あぁ!?」
そう言って再び仁を蹴る。仁はそれを必死にガードする。が衝撃が半端ではない。腕が痺れる。今の仁は悔しさでいっぱいだった。
「エリスが見込んだ奴ってこの程度かよ。はぁ、マジであいつは落ちたな。お前、いじめられてんだろ?だったらこの程度だよな!」
もちろん鉄也の憶測に過ぎないが間違いではない。
「・・・。」
仁の動きが止まる。
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