6123人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁアレや。どうしてもいうこと聞かへんかったら、ワイら皆で先生に言うたらえぇんや。でもティコ、まだ諦めんのは早いで」
ファルディの言葉に、ティコは「うん!」と頷いた。
そうだ。
自分らしく行くというのなら、負けず嫌いでなければ。諦めが悪くなければ。
それでこそ、メシア・ティコなのだ。
ティコは気合を入れなおした。
もっと心から接すれば、ルフェリアも振り向いてくれるかもしれない。
彼女は青い空を見上げながら、一言呟いた。
「ありがとう。……クルト。頑張るっきゃ、ないよね……!」
中庭を二人並んで歩いているクルトとアルニカ。
クルトはまだ、右手にカフェオレのパックを持ったままだった。
中庭に設置されているゴミ箱は、僅かに一つだけ。
教室に戻って捨てた方が早いというのに、彼はわざわざそこへ向かっているのだ。
「クルト」
アルニカが身を少し前へ乗り出し、下からクルトの顔を覗きこむようにして見た。
クルトは目線だけでアルニカの顔を見て、「何」と一言。
「いや……、やっぱりお前は、いい奴だな」
「……は? 意味が解らん」
アルニカの言葉にクルトはそう返し、眠たそうに欠伸をした。
本来なら授業中はずっと寝ているのだが、今日は説教の後ということもあってか、何度もメディスに起こされたため、全く眠れて居ないのである。
最初のコメントを投稿しよう!