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部屋の中から、生活の匂いはしなかった。
しばらく、誰も足を踏み入れて居なかったのか、籠った空気が肺に入ってくる。
部屋の中には、テーブルが一つあるだけだった。
まるで、自分が居なくなる事を知っていたかのように、部屋の中の物はテーブル一つだけで、それ以外の物は何もなく、ガランとしていた。
むしょうに、愛する人の名前を呼びたくなった。
籠った空気の中に、あの人の空気が混じって居たから。
「…ユウ……」
当たり前だと解って居ても、返答が無い事が哀しくて、寂しくて、どうしようもない気持ちが溢れて止まらなかった。
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